暑いときに呼吸がしづらいと感じたことはありませんか?
真夏の温度の高い室内にいると、呼吸が浅くなる気がする。
心臓疾患や持病があるわけでもないのに、蒸し暑いと息苦しくなる。
なぜこんなふうに「暑いと息苦しくなる」のか、疑問に思いますよね。
暑さと呼吸の謎。
暑さ対策の呼吸法をまとめました。
暑いと呼吸が苦しい
暑いと呼吸が苦しい。
そう私が気づいたのは、エアコンのない真夏の室内で過ごしていたときでした。
空気が胸に入っていかないのです。
吸っても吸っても酸素が薄くて、溺れかけているような感覚でした。
とにかく呼吸がしづらいもので、何かの病気なのかと不安に思ったものです。
しかしこれは「暑いとき」に限る症状。
きっと「暑いから息苦しいのだ」というのは分かりました。
実は、暑いと呼吸が苦しく感じるのには理由があるのです。
暑いと息苦しい理由
暑いと息苦しい理由は、空気の性質によるものです。
熱により温められると、空気は膨張します。
逆に冷めると、空気は収縮します。
膨張しても収縮しても空気の質量(重さ)は変わりません。
暖房をつけたときのことを思い出すと分かりますが、暖かい空気は上の方に溜まりますよね。
これは周りの空気と比べて、暖まった(膨張した)空気のほうが軽くなるため、上へとあがっていくからです。
一方、冷房の冷えた空気が下に溜まるのは、収縮して周りの空気より重くなったために起こります。
同じ質量(重さ)の空気で、温められ膨張した体積の大きい空気。
同じ質量(重さ)の空気で、冷やされ収縮した体積の小さい空気。
質量が同じで体積が大きければ、そこに含まれる酸素の量はおのずと少なくなります。
温まって膨張した「酸素濃度の低い空気」をいつものように吸えば、当然「足りない」と感じるはず。
いつもよりたくさんの量の空気を吸い込まなければならなくなります。
それが
「呼吸が苦しい」「呼吸しづらい」
と感じる原因なのですね。
ただし当然ですが、呼吸が苦しいと感じるほどの気温が高い空間で過ごすのは、体のために決して良いものではありません。
体内に熱がこもり血流が滞ると、心臓にも負担がかかります。
脳への血流が滞ると脳の温度が上がり、めまいや失神してしまう恐れもあります。
体温を上昇させたまま脱水状態にもなれば、熱中症になる危険性は大いにあります。
暑さ対策、水分補給をしっかり行い、できるだけ涼しい場所で過ごすようにしてくださいね。
暑いときの呼吸法
暑いときの呼吸法があるのをご存知でしょうか。
ヨガの呼吸法で【シータリー呼吸法】と呼ばれるものがあります。
「シータリー」は「冷ます」という意味です。
つまり「熱を冷ます」呼吸法ということなのですね。
ヨガの発祥の地であるインドは、季節により日中40℃越えすることもあるほどの高温な土地。
その土地から生まれた「体の熱を冷ます呼吸法」ですから、試してみる価値はあるはず。
暑くてたまらない!というとき、ぜひやってみてください。
熱を冷ますシータリー呼吸法のやり方
⒉ 舌をUの字に丸める
⒊ ストローから吸うように、丸めた舌の隙間から息を吸い込む
⒋ 吸った空気を肺に溜め、数秒おく
⒌ 舌を戻して、ゆっくりと鼻から息を吐く
これを10~20回ほど繰り返します。
例えば犬は、暑いときや走り回った後などに荒い息を「ハァハァ」と吐いていますが、これは舌を出し唾液を蒸発させることによって、上がった体温を下げようとしているため。
原理としては、この呼吸法も同じものなのかもしれませんね。
ちなみにこの【シータリー呼吸法】は体の熱を冷ますだけでなく、「頭がカッとなった」ときにも有効なのだとか。
頭の熱を冷ますのにも良いそうなので、イライラしたときなどに試してみてもいいかもしれません。
舌を使うので、唾液分泌を促す効果も期待できます。
唾液が増えれば消化力も強化されます。
暑い夏にぴったりの呼吸法ですよね。
まとめ
暑いと呼吸が浅くなるような感覚は、やはり気のせいではありませんでした。
温められて膨張した空気が原因で「酸素が足りない」と感じるのですね。
暑いと息苦しい理由が分かったからといって、油断するのは禁物です。
度を越した暑さが、人の体に与える悪影響は計り知れません。
体内の臓器に負担がかかっていること。
熱中症の危険性があること。
このことを常に頭において、熱中症予防はしっかり徹底しておいてくださいね。